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インタビュー

乾隆一氏

2012年2月16日

「オリジナリティの基礎となるもの」

 研修会開催に先立ち、各方面で活躍されている3名の先輩会計士の方々に「文章を書く際に気をつけておられること」をテーマにインタビューを行いました。
 第2弾は乾隆一先生(2012年1月実施)。TAC株式会社や東京実務補習所などで講師も務めておられる乾先生に、文章構成時のポイント、補習所課題への取組み方、さらには専門家としての心構えについてお話いただきました。乾先生の熱いメッセージをご覧いただくとともに、ぜひ研修会に足をお運びいただき、実際に「会計士のための文章術」に触れてみてください。皆様のご参加をお待ちしています!

3月10日 (土) 東京実務補習所 単位認定研修会 
「会計士のための文章術 ~補習所課題から海外留学エッセイまで~」
開催直前! スペシャルインタビュー 第2弾


 

東京実務補習所副委員長 乾隆一先生
「オリジナリティの基礎となるもの」
 

テーマから読み取るべきもの:
論文を書くとき、まず何をどのくらい書くべきかといった構成を決める必要があります。しかしその前に、与えられたテーマの意図を読み取ることから始めなければなりません。そうすることで、何を書くべきかあるいは何を書くべきでないかが自ずと分かります。その意図を読み取るキーとなるのは、“読み手が誰か”ということです。

 課題研究に限って話をすると、東京実務補習所では、出題テーマは班の先生方が協議して決めています。また、採点も班の先生方が行っています。班の先生方とはディスカッションやゼミナールで接点があるはずです。つまり、テーマの出題者と読み手は、知っている人たちなのですから、テーマの意図は、他の論文執筆のケースと比べて、読み解きやすいと思います。

 
指定された形式を守る:
そして、出題テーマの意図を読み解けたなら、次に、書きたい内容、書く分量、順番など論文の構成・内容を決定します。ここで知っておいて欲しいことは、同じ構成・内容であっても、見せ方の工夫次第で、伝わり方は変わるということです。そこで、この見せ方の工夫を試みる機会でもあるのが、補習所の課題研究です。

 図表を入れた課題研究に出会ったことがあります。図表は文字数にカウントされませんが、こういった工夫をすることで内容が伝わりやすくなります。ただし、その前提として指定された形式を守るなど、まず基本を踏まえることが大切です。つまり、闇雲に図表を入れれば良いというわけではないのです。
基本を踏まえ、その上で工夫して論文を書いてみて下さい。

 
コピペ問題:
数年前、補習生が課題研究を作成する際に、インターネット上の文章などをそのまま貼り付ける“コピペ”が問題となりました。 

文章を作成する際、外部の情報を“参考”もしくは“引用”という形で利用することがあります。ここで“参考”とは、書籍や雑誌などを読んでイメージを作り、それを元に自分の意見を書くことで、“引用”とは、どうしても他人の書いた文章を使用しないと話が進まないときに必要最低限、長くても数行程度、他人の書いた文章を借りてくることです。これに対して“コピペ”とは、書籍や雑誌あるいは監査法人のホームページなどのインターネット上にある文章をそのまま貼り付けて自分の文章にすることだといえます。

論述は真似することから始まるので、インターネットで知識を得ること自体は否定しません。ただし、情報を利用するときには、加工することが不可欠です。自分なりにまとめたり言い換えたりするなどして、加工しているかどうかが、参考及び引用と“コピペ”の違いです。

課題研究は、文章構成など全体的な視点をしっかりと持って論述する必要があります。そのため、コピペをした文章が入ると構成が崩れてしまうため、読み手は違和感を感じることになります。

 

意見が持てないときは:    
コピペせざるを得ない理由の1つとして、テーマについて自分の意見が持てないという状況があるのだと思います。テーマによっては意見を持ちにくい場合もあると思います。これはすぐには改善できないのですが、日頃から、新聞、雑誌(週刊「経営財務」などがおすすめ)、ウェブやツイッターなどを活用して、いろいろな媒体から満遍なく情報を得ておけば、どんな話題であっても自分の意見を持てるようになります。 

例えば、昨年12月に、COSO(トレッドウェイ委員会組織委員会)から内部統制のフレームワークに関する見直しが公表されました。この情報を知っている補習生はどれ位いるのでしょうか。たぶん、少ないのではないかと思っています。大切なのは、こういった会計士業界に関連する情報が入りやすい環境を作っておくことです。情報の具体的な内容を勉強するのはまだ先でも構わないですが、情報を早めに仕入れておくということが大切なのです。その上で、仕入れた情報について、日ごろから少しだけで構わないので、考える癖をつけてみて下さい。


書いた文章をどう評価するか:
独りよがりの文章にしないためには、文書を書いたとき、先輩や友人に見てもらうのが有効です。例えば、課題研究なら班の先生方になぜこの評価だったのか、どこを改善すればいいのか聞いてみるといいでしょう。
班の先生方は、現在は補習生と補習所運営委員という関係ですが、数年経てば同じ公認会計士同士です。ですから、遠慮せずもっと長期的な視点を持って、積極的に話した方が良いと思います。班の先生方からも、是非、課題研究に関するアドバイスを貰ってください。
うまくすれば、出題テーマの意図を教えてくれるかもしれませんね。

 

≪乾先生おすすめの思考≫
乾先生から教えていただいた図です。Facebook上で中村修治さんが公開されていたそうです。
将来プロフェッショナルとなる皆様に、ぜひご参考にしていただきたいと思います。

乾隆一氏:
公認会計士。乾公認会計士事務所所長。1975年東京都目黒区生まれ。
慶應義塾大学卒業後、大手監査法人勤務。その後、慶應義塾大学大学院修士課程修了。
東京実務補習所では、2005年から運営委員を務めており、2009年からは副委員長でもある。また、2006年から国際財務報告基準の講義を担当している。

 

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