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インタビュー

山口峰男氏

2011年10月2日

ロンドンの大学院で学んだことを日本に還元したい

日本公認会計士協会の国際会計人養成奨学金を受給し、ロンドンの大学院に留学された山口氏。
海外留学を通して学んでいることについてお伺いしました。


JIJAインタビュー 山口峰男氏


1.なぜ会計士を目指されたのかお聞かせ下さい。

銀行に勤めて6年程経過したところで銀行の財務諸表を作成する部署に配属され、本格的に会計などの勉強をすることになりました。当然のように、公認会計士による監査への対応の機会もあって会計士の方とお話しする機会に恵まれ、それを通じて会計士という職業に興味を持ちました。また、以前から手に職をつけられる、専門職という仕事に興味をもっていたこともあります。

2.なぜ、現在の勤務先を選ばれたのでしょうか?

銀行に合計で10年強働いていましたので、その経験を生かせる金融機関関連の仕事に興味があり、特に金融部門に強い事務所を選んだということです。また、知り合いがいたというのも理由として大きかったですね。

3.日本公認会計士協会の国際委員会のお仕事についてお聞かせ下さい。

日本の監査基準委員会報告の起草、改訂に役立てるべく、ISA(国際監査基準)の翻訳の仕事に関与していました。具体的にはすでに下訳していただいたドラフトを専門家の観点からレビューをするという内容の仕事をしていました。

4.なぜ、海外のLSE(ロンドン・スクールオブ・エコノミクス)に行こうと思われたのですか?

実は、海外に留学したいという希望は学生の頃からもっていました。業務上の必要もあって英語の勉強は継続して行っていましたが、今回、留学するにまで至った直接のきっかけは日本公認会計士協会の国際会計人養成奨学金、通称川島奨学金の内定をいただけたことでした。

留学先としてLSEを志望した理由は、まずはMSc Law and Accountingという他にはないユニークなコースが儲けられており、金融規制と会計との関係に対して関心を持っている私にぴったりマッチしていたということです。大学では法学部で学びましたので、アカデミック的にはLawを勉強した経験があり、実務ではAccountingを仕事にしてきたということとも適合していました。

また、イギリスの大学の中でも、ノーベル賞受賞者を輩出していることで世界的にも有名な経済学の分野はもとより、私の専門である法学、会計学の分野でもかなり上位の評価を受けているということと、ロンドン在住という地の利を活かして、今後のキャリアにも活かせる様々な経験を積めると考えたことがあります。LSEの修士課程はとりわけ留学生の受け入れと、出身国の多様性を重視していることもあって、現状では比較的日本人を含む外国人はイギリス人よりはむしろ入りやすいと思っています。

現にLSEでは、日本の官庁からの派遣や開発関係のキャリアを目指されている方を中心に多様な学生が学んでおり、他のロンドン大学の各校を含めて特に官庁派遣の方は増えているようです。こうした留学生たちとのネットワークづくりの上でもとてもよい機会だと思っています。

5.海外生活で一番苦労したことをお聞かせ下さい。

ロンドンに到着してから住む場所が見つかるまでの期間ですね。出発前は奨学金及び大学入学の手続、ビザの申請手続、家族を伴っての引っ越しの手配など、出発直前まで勤務しており準備期間が少ない中で、とても多くのことをしなければなりませんでした。そのためロンドンで住む場所の確定が遅れてしまい、始めは大学の寮のショートステイやホテル住まいをしていました。また、家族を同伴しての留学ということもあり、知らない土地でより住む場所を確保するのに苦労しました。

6.海外で働きたいと思いますか?

自分にとってプラスとなる機会に恵まれるのであれば、ぜひとも海外でも働きたいですね。とは言っても、今回の留学を通して海外、少なくともイギリスとの距離感がかなり近くなったと感じているのは確かで、その結果、今では海外で働くというのが日本で働くのと比べて特別なことであるとは感じなくなりました。日本以外の国から留学している会計士、弁護士とも友人として交流できたということも壁を低くする上では大きいですね。

7.休日はどのように過ごされているのですか?

オフタイムは家族で近所に買い物に行ったり、博物館、美術館、コンサートやオペラハウスなどの文化施設に行ったりしています。家族、特に子供にとっても得難い機会ですから、英国あるいは欧州の文化や歴史を楽しむ目的にかなり時間をつかっているのは確かでしょう。

また、日本でも急速に広まってきているFacebookなども留学生仲間とのコミュニケーションツールとしてかなり活用しましたが、会計士以外とのネットワークを格段に広げることができたような気がします。

8.留学する前と後の違いは何かありますか?

まずは海外にいることで日本にいる時より一層、日本を意識するようになったことでしょうか。特に3月の震災に際してはロンドンで募金活動をしましたが、他の国の人から温かい支援をいただき、日本及びイギリスのマスコミ(テレビ、新聞)で採り上げていただいたこともありました。

また、イギリス人の日本の文化や食事に対しての知識や関心が、当初予想していたよりも高いことに驚きました。加えて、ロンドンに大きな日本人のコミュニティがあって、かなり幅広く活動していることも新鮮なことでした。

9.LSE卒かつ会計士という極めて稀な肩書と思いますが、今後は何をされるのでしょうか?

LSEで学んだこと、加えてIASBのmeetingの傍聴などを通じて感じたことを日本でも還元したいと思っています。とりわけ銀行での10年強の勤務に加え、イギリスでの大学院留学まで経験している公認会計士はあまりいないと思いますので、これからの業務、とりわけ教育、研修活動の場でも活かしていきたいと考えています。

10.日本の若手会員に向けてのメッセージをお聞かせ下さい。

近年は就職難と聞いており、公認会計士試験にさえ受かれば監査法人等に就職できるという環境にないと認識しています。個人的には、自分が就職のためというより、公認会計士としての資格を得ることを目的に公認会計士試験を受験した経験をもっていることもあって、公認会計士試験の合格と試験合格者としての就職は分けて考えたほうが良いと思っています。

むしろ、試験に受かった後も監査及び会計の専門家の一人として、いかにして他の会計士と差別化できるかを考え続けることがとても大切だと思います。今回の大学院留学をその観点からも自分のキャリアプランに位置づけています。

また、今までは協会の奨学金を得た公認会計士の方では、アメリカにMBA過程に留学された方がほとんどと聞いていますが、IASBの本部があって、他のヨーロッパ諸国にも近いイギリス、特にロンドンに留学する会員が続いてくれることを期待しています。

♦経歴
山口峰男
1989年、上智大学法学部国際関係法学科卒業、株式会社三菱銀行入行
2000年、公認会計士第二次試験合格、中央青山監査法人入所
2004年、公認会計士第三次試験合格
2006年、あらた監査法人入所
2010年、日本公認会計士協会の国際会計人養成奨学金により、London School of Economics and Political Science(LSE)に留学中。専攻はMSc Law and Accounting
公認会計士、日本証券アナリスト協会検定会員

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