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インタビュー

那須川進一氏

2011年9月20日

自分の中で「ここだけは負けない」という強みを作ること

日本では数少ないアクチュアリーと会計士資格の保持者である那須川氏。ダブルホルダーの強み、今を生きる会計士に求められるものについてお聞きしました。

JIJAインタビュー アクチュアリー会計士 那須川進一氏

●公認会計士になろうと思ったきっかけは何でしょうか。

一番大きいのは、会計士の仕事内容自体が面白そうだなって思ったからですね。いろんなことを勉強しないといけないし、会社全体のことを若い年次のうちから見られる。こんなことってそうそうないですよね。

●アクチュアリーになろうと思ったきっかけは何でしょうか。

大学4年生のときに会計士試験に合格してから、監査法人で金融機関の監査を担当していました。その頃、負債側の勘定科目を担当していて、そこで退職給付引当金が面白そうだなと思って、年金の勉強を始めたのがきっかけですね。

●現在の具体的な業務内容を教えてください。

会計との関連で言うと、やはりPBO計算(退職給付債務の計算)が一番大きいと思います。
次に、会計に繋がっているのが、DD(デューデリジェンス)でしょうか。弊社は人事コンサルなので、財務DDとは少し切り口が違って、人事DDという形でやるんですね。給与や待遇などを考えて、これから人材をどうしていくのかを考えるなかで、年金・退職金も大きな問題になります。これって実は、財務DDでは分からないものなんですね。

あとは、会計とあまり馴染みがない箇所なのですが、年金ALM(Asset Liability Management)というものがあります。負債に対してどういった年金資産の運用方法が一番リスク回避になるのか、一番リターン稼げるのか、等という観点で、負債と年金資産の運用をマッチさせて、年金制度全体として最適な運用を考えていこうという、年金資産の運用にまで踏み込んだものですね。最近は、ALMのひとつの考え方として、LDI(Liability Driven Investment)が欧米で流行っています。その他にも、制度設計、年金ガバナンスなど、業務内容は多岐に渡ります。

●会計士とアクチュアリーにシナジー効果はありますか。

もちろんないことはないと思います。先ほど、会計と近いという観点でお話した、PBO計算とDDの部分では被るところがあるでしょうね。あと当然、制度設計などでコストの影響を見るときに会計を知らないと理解できない。

ただ、残念ながら直接、会計監査の知識が応用できるかと言われると、そんなことはないですね。もちろん、会計の知識は教養みたいなもので、どこに行っても必要だとは思いますけれども。

●今後どのようなキャリアをお考えでしょうか。

まず英語ですね。私は外資系の会社にいるので、まずは、自分の考えを伝える手段を持たなければいけないですね。

それと究極的なことを言うと、私はCFOになりたいと考えています。私は工場が大好きで、工場を持つ製造業にお金を回すことが、社会にとってすごく大事なことだと思うので、将来的にはそういう分野に携わるCFO的な仕事をしたいと考えています。

●どんな人がアクチュアリーに向いているとお考えでしょうか。

基本的には、計算好きな人が多いですね。計算が嫌いではさすがにアクチュアリーでは厳しいかと思います。
特に、生保のアクチュアリーは本当に数学好きな人が多いです。知人が生保の方に移ったのですが、年金と比べると使っている数学のレベルが違うし、周りも相当数学好きな人が多いと言っていました。なので、生保等の保険の分野に行くのであれば相当数学好きでないと良い仕事ができないと思っています。

●アクチュアリーをお勧めしますか。

このような時代だからこそ、余計そう感じますね。ダブルホルダーのメリットは、仕事の幅がものすごく広がること、これは間違いありません。高度な仕事の幅があります。

●日本公認会計士協会に望むことがあれば教えて下さい。

もはや、会計士の資格だけ持って、立ち向かえる時代ではなくなったと思っています。「会計監査の道を究めます」という人はそれでいいかもしれませんが、会計士の資格だけを持っていて一生安泰という道はないというのが私の考えです。

ですので、「会計士のアクチュアリープロ集団を育てましょう」という動きがあってもいいと思います。会計士って、何のプロかわからない面があるので、その中で更なる専門分野に特化したプロと言える人を育てようという動きがあっても良いのではないでしょうか。

●準会員にメッセージをあればお願いします。

非常に残念ながら、会計士だから安泰という時代ではなくなってしまったと思います。やはり自分で「ここだけはだれにも負けない」という分野・強みを作りましょう。何よりもそこに尽きると思います。頑張ってください。

◆経歴
2001年、東京大学理科Ⅰ類合格。理学部数学科に進学。
2004年、公認会計士試験二次試験合格。あずさ監査法人(東京事務所)に入所、監査業務に従事。
2007年、アクチュアリー試験一次試験合格。マーサー・ヒューマン・リソース・コンサルティング株式会社(現マーサージャパン株式会社)に転職、現在に至る。
日本アクチュアリー会正会員、年金数理人、公認会計士

(文責)磯前哲

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