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インタビュー

山口 綾子氏

2011年7月15日

経歴:2002年公認会計士試験二次試験合格後、監査法人トーマツ名古屋事務所にて監査業務に従事。その後、2007年にYKK株式会社に入社、現在に至る。

これからのキャリアを考える ~私の10年後~

YKK株式会社 統一会計基準プロジェクトリーダー 山口 綾子氏

■現在の具体的な業務内容は?

YKK株式会社に転職してからは、連結決算や有価証券報告書の作成業務を中心に行ってきました。その中で、一般企業と監査法人の視点の違いを実感することも多く、面白く感じています。例えば監査法人では有価証券報告書の「経理の状況」以降を中心に監査を行いますが、実は会社は「事業の状況」等に力点を置いているというように、違う角度から物事を見ることができました。また、株主総会の運営にも参加し、決算業務の終わりを見届けることもできました。こういう経験は監査法人ではできなかったことなので、興味深いです。

それと並行して、プロジェクトにも関わっています。昨年は会計期間を統一するプロジェクトに参加し、無事にグループ全社の連結会計期間を統一することができました。現在はグループ統一会計基準の策定プロジェクトに携わっています。プロジェクト推進のスケジュールを考え、適切な時期に指針を出したり、部門横断的なミーティングを行ったりと、プロジェクトは自分で積極的に動かないと進まない部分が多く、非常に勉強になります。

■準会員時代に何をやっておけばよいとお考えですか?

私自身の経験では、もう少し会計基準や法律を勉強した方が良かったなと思っています。どんどん変わるので大変だとは思いますが。

あとは、目の前の仕事を一生懸命やることが一番。そして、海外で働きたい、税務に特化したい、こういう分野に行きたいという目標があれば、それに向けて勉強することが大切だと思います。自分のやりたいことを早めに見つけて、それに向かって+αの部分を強めていければ良いかと思います。

■なぜ現在の仕事を選んだのでしょうか?

監査以外の業務、作る側の業務をやりたいと思ったからです。監査は、人がやったことをチェックして間違いを指摘することが多いですが、「では、果たして自分は作れるのか?」と疑問に思ったことから、作る側に回りたいと思いました。

また、海外で働きたいという気持ちもありました。もちろん監査法人にいても海外で働けない訳ではありません。ただ、よりチャンスが多いところで働きたいと思い、海外展開を積極的に行っている現在の会社に転職しました。また、私は長く勤めたいと思っていたので、女性の勤続年数が長いYKKは働きやすいのかなと思ったのも理由の1つです。

■現在の仕事の好きなところ、やりがいを感じるところは?

関わったプロジェクトが成功した時は嬉しいですね。その中で、最終的なプロジェクト成功の前にあるマイルストーンがひとつひとつクリアされる度に、やりがいを感じます。監査法人時代にはプロジェクトといったようなものはなかったので、そういった部分は大きく違うと思います。監査はどこまでいっても監査という気がしていましたが、現在は、全体の流れの中で経理業務から外れることはないものの、他部署に関連する仕事に携わったり、ジョブローテーションがあったりと、新しいことが多いです。

■現在の仕事の難しいと感じるところは?

他の部署や、チーム、子会社、監査法人との間で意見や利害が対立する時に、うまく調整しながら物事を進めていく点です。現場サイドの考え方と、管理サイドの考え方で異なる事も多くあります。他の部署から問い合わせがあったときに、「基準に書いてあるか否か」といった制度面からの立場だけではなく、現場の意図や気持ちを汲み取った上で答えるように心がけています。

■企業内に入って意外と必要だと思う知識は?

監査法人時代にはそこまで必要とは思っていなかったのですが、補習所の授業は大事だなと感じました。特に内閣府令や法律関連。こういった時に臨時報告書を出すとか、あれは会社法のここに載っているなど、意外に実務では大切になるので、しっかり補習所の勉強をすると後々役に立つと思います。

■現在の仕事に向いていると思う人はどのような人でしょうか?

コミュニケーション能力が高い人は向いていると思います。監査法人では、会計の事を知っていて、たくさん仕事をすればよしとされる部分もあったように思いますが、企業では、物事の進め方も大切になります。会計のことを知っているだけではダメで、周囲とコミュニケーションをとって折衝しつつ、自分の考えを伝えていかなくてはならないと感じています。単に「基準に書いてあるからダメです」と言うだけではなく、バックグラウンドを説明して、相手に納得してもらった上で結論を出すよう努めています。

■会計士に求められるものは何だとお考えですか?

一口に会計士と言っても、その中にはいろいろな道があり、それぞれに必要なものは違うと思います。自分がどの道に進みたいのかを早めに決めて、会計士+αの専門分野を作れるようになると良いと思います。

また、自分も含めて気をつけたほうが良いと考えるのは、「あるべき論」になりすぎないということです。私たちは会計士試験を受ける中で理論・理屈を詰め込んでいるので、ついそちらの方向から話をしてしまいがちです。しかし、会社にはその会社のやり方やそれに至った経緯があるはずです。自分はそれを学ぶ立場だということを忘れずに、謙虚な姿勢で吸収する事を心がけてほしいと思います。もちろん、その上であるべきを主張することも大切ですが。

監査法人で働いていると、外の世界に対する不安が大きくなり、監査法人以外の道になかなか思い切って飛び出せないかもしれません。私も最初は不安でした。でも結果的には転職して良かったと思っていますし、せっかく会計士資格というバックグラウンドがあるのですから、一般企業に興味を持ったのなら臆せずに飛び込んでほしいと思います。

山口綾子:2002年公認会計士試験二次試験合格後、監査法人トーマツ名古屋事務所にて監査業務に従事。その後、2007年にYKK株式会社に入社、現在に至る。

(文責:藤井 雄介)

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