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インタビュー

津田 大介氏

2012年7月15日

フリーランスで生きていけるたくましさを持って欲しい

2010年にユーキャン新語・流行語大賞に「~なう」がトップテンに入り、今年に入ってからは中東での民主化運動や東日本大震災が起こった際に、TwitterやFacebookを始めとするソーシャルメディアが有用な情報伝達手段として話題になった。今回はメディアジャーナリストの津田大介氏に、専門家として、会計士として、今後どのようにソーシャルメディアを活用していくべきなのか聞いてみた。

メディアジャーナリスト津田大介に聞く。

現在、注目されているソーシャルメディアとは何ですか?

「ソーシャルメディア」という言葉自体は、実は2004年頃から使われてきた言葉です。以前はメディアとしてのインターネットは、ホームページを見て情報を得るという一方通行の流れだけでしたが、現在は受信者がコメント欄などを用いてどんどんコンテンツを追加していく双方向の流れが出てきました。この「双方向のやりとりでコンテンツが拡充されていくこと」が広義の意味でのソーシャルメディアです。ただし、最近では狭義の意味として「リアルタイム性の高いSNS 」のことを「ソーシャルメディア」とする傾向があります。具体的にいえばTwitter、Facebook、mixi などです。

津田さんはどのようにしてキャリアをスタートさせたのですか?

もともと僕は高校生の頃から物書き志望でした。大学新卒時の就職活動でも出版社を受けたのですが、全部落ちてしまい、「さぁどうしよう、仕事がない」という状況になってしまいました。 そこで僕は仕事を作りました。当時はちょうどインターネットの黎明期で、パソコン、インターネット関連の雑誌や書籍がすごい勢いで増えていました。

そこで、これは絶対書き手も足りていないと思い、知り合いのIT系のライターさんの名前を使って、パソコン雑誌の編集部に沢山の営業のはがきを出したのです。僕には、150枚出せば、1割くらい返事が来て、その中で半分くらいは仕事が決まるのではないかという目論見がありました。そして、一気に新しい仕事が増えれば、そのライターさんも全部はこなせなくなるだろうから、少しはおこぼれがあるのではないかと。そうしたらほとんどその通りになりました。これが物書きとしてのキャリアのスタートです。 状況を見て、足りないところに自分の能力をどう生かせるかを意識して、最善の策を考えて自分を売り込む。この戦略を必死に考えました。おかげさまでこれが仕事に関する唯一の営業です。

メディアジャーナリストとして若手会計士にはどのようになって欲しいとお考えですか?

震災で日本の既存のシステムが変わってしまったと思います。そんな時こそフリーランスで生きていけるたくましさを持って欲しい。世の中に今何が足りないのかを一歩引いて分析して、足りないところに自分のリソースがどう当てはまるのかを考えて、どんどん仕事を作って欲しい。会計士の知識や資格があれば絶対に役立つことがあると思います。足りていない、誰もやっていないことはたくさんあるのだから、自分の価値を創造して下さい。種はいくらでも転がっていると思います。

今後のことを具体的に考えると、一例として、目指すべきは「復興専門の会計士」でしょうか。被災地の状況を考えると立て直すためにはどうしても時間が掛かると思います。今後、復興のために被災地を特区にしようという話が出てくるかもしれません。一から会社を立て直すためにはどうすれば良いのか、復興していく上でどういう業種が重要なのか、被災地での経済はどう動くのだろうかと今のうちから勉強して、いざ復興という時に自分たちの能力を最大限に引き出せるようにしておく。そこで自分のポジションを確立できれば、絶対に数十年、会計士として食べていけると思いますよ。

会計士はソーシャルメディアとどのように付き合っていけば良いのでしょうか?

図形が見える人、数字の読める人のニュース分析は重要です。新製品発売のニュースの分析は誰でも出来ますが、決算が発表された時に、「この半年間でこれがあったから決算の数値がこうなった」とか、「この数値はこう読めば良い」というような情報を発信している人は少ない。でも、この情報を欲しがっている人は実はたくさんいます。この「数字の分析をできる専門能力」を持っているのが会計士だと思います。情報にオルタナティブな視点を出すと新しい価値が生まれる。それをTwitterやブログなどで積極的に情報発信していく。I R情報については一般の人には分からないことが多いので、「このI R情報のここが気になる」というような情報をどんどん発信していくべきだと思います。

また、情報の収集には、海外のW E Bメディアのチェックは欠かせません。会計にもグローバル化、国際財務報告基準の導入の話がありますが、ここで海外の会計に関するブログをフォローしておけば相当アドバンテージだと思います。ブログまでチェックしている人はなかなかいません。もう1つは金融庁や財務省などの役所関連の情報。各省庁ではいろいろな審議会があり、議事録が公開されています。ここで決められた結論は1年後、2年後に法律になっていくので、政策の先読みが出来るのです。僕は情報通信政策に関する審議会や震災関連の記者会見には顔を出して、Twitterで情報発信していますが、この会計版をやるだけでどんな経済ジャーナリストよりも優れた情報発信ができると思います。

準会員にメッセージをお願いします。

1つ目は、今までTwitterのようにさまざまな経営者とフラットに会話できる空間は無かったのですから、最大限に生かして欲しい。Twitterには大小さまざまな企業の経営者がいるので、見つけたらとにかくフォローすることをおすすめします。そして、その経営者とのコミュニケーションを純粋に楽しんで欲しいと思います。

2 つ目に、どんどん競争が激しくなる中で、自分をどう差別化するのかを意識して下さい。この差別化に役立つのがソーシャルメディアです。ソーシャルメディアは、人の信頼性や、その人自身に興味を持つメディアですから、その人自身が注目されます。ソーシャルメディアを使ってどう自分の名前を売っていくのかが重要なのです。

最後に、専門家としてどう経済に貢献していくのかという社会的視点を持ってください。震災後はどんな仕事にも社会的視点が求められます。会計士業界もなかなか厳しい状況ではあると思いますが、社会的視点をもって仕事を自分で作り出すことができれば、いくらでも仕事は増えていくと思います。

津田大介 :1973 年生まれ。早稲田大学大学院政治学研究科非常勤講師。 2006 年から2 0 0 8 年まで文部科学省文化審議会著作権分科会の小委員会で専門委員を務め、著作権やコンテンツビジネスの動向について積極的に発言。Twitter を使ってシンポジウムやイベントを実況中継することを意味する「t s u d aる」の語源にもなっている。主な著書に『仕事で差がつくすごいグーグル術』(青春出版社)、『Twitter 社会論 – 新たなリアルタイム・ウェブの潮流』(洋泉社)など。

(文責:増田 祥之)

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