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インタビュー

大塚 秀雄氏

2009年1月1日

天は自ら助くる者を助く

生年月日  1933年9月30日
出身地   千葉県千葉市
合格年次  2003年
出身大学  東京大学農学部
趣味・特技 俳句

将来の夢  公認会計士となり企業の健全な発展に貢献
座右の銘  天は自ら助くる者を助く

【略歴】
千葉県千葉市に生まれる。東京大学農学部を卒業後、農林中央金庫に就職。「銀行員のための数学入門」を共著で執筆し当時評判となる。農林中央金庫を退職後、㈱農林中金総合研究所主席研究員となり、在籍中に博士号を取得する。その後同研究所を退職し、釧路公立大学経済学部教授、道都大学経営学部教授に就任。現在、会計士補事務所を開業し、大学非常勤講師としても教鞭をとっている。

― あるとき、補習所の同期から面白い話を聞いた。今年の補習所には史上最年長合格者の会計士補がいると。受験生のほとんどは20代、30代であるが、そんな中で見事会計士二次試験に合格されたという。筆者は興味を持った。なぜ、難関の試験を受験するに至り、そして突破することができたのかと。そこでその人物――大塚氏にインタビューすることにした。

会社員としてのスタート

大塚氏は1957年、東京大学農学部を卒業し、現在の国家Ⅰ種に当たる国家公務員試験農業経済職6級に合格。その後、農林中央金庫(以下「農林中金」)に就職する。当時の農林中金といえば非常に狭き門である。氏は農林中金の中においても頭角を現す。
日本生産性本部経営コンサルタント指導者養成講座に出向し、主に経営分析の研修を受講。約70人の研修生の中で見事総代に選ばれる。更にはこれを契機として、「銀行員のための数学入門」を共著で出版。本著は評判を呼び、氏は業界の注目を集めることとなる。
このように輝かしい経歴を持っている氏であったが、すべてが順調だったわけではない。農林中金の勤務時代には評価が二分された。氏は多変量解析を活用した分析を得意としており、その能力の高さを評価する管理職がいる一方で、そもそもその利用に批判的な管理職もいたため、正当に評価されない時期もあった。

教授の道へ
会社員としての生活を送っていた氏であったが、もともと研究畑の大塚氏である。いつしか、博士号を取り研究の道へ歩むことを夢見るようになり、それは実現する。
55歳のとき農林中金を退職。㈱農林中金総合研究所主席研究員となり、博士号を取得する。この時の博士論文『鰻養殖業の計量経済学的研究』は学会表彰を受ける。そして研究所退職の後、釧路公立大学経済学部経営学科教授に就任。主に、現代の経営、経営管理論、経営分析、経営統計学などを担当した。

そして受験生として
やがて氏に転機が訪れる。釧路公立大学の学長の提案により、公立大学生の進路指導のために各試験制度等を調査・検討することになり、氏は税理士・公認会計士の検討委員に指名されたのだ。これまで会計士試験制度はもちろんのこと、試験科目についても全く知識がなかったため、会計士試験の過去問をまずは眺めてみた。
「自分にも出来るのではないか」――これが氏の第一印象であった。
商法・民法については農林中金時代で培われた知識があったため馴染み深いものであり、また、経済学については農業経済学の博士号をすでに取得しているため、一部科目免除が可能だった。残りの簿記などの会計学についても、数字に強い氏にとっては何の抵抗もなかった。そして氏の受験生活の幕が開かれることとなった。

いざ始めてみて
もともと学ぶことについては全く抵抗のない氏である。当時でも60歳代後半という高齢であったが、これは何ら障害にもならず、氏は新しい知識の吸収に夢中になった。大学で教鞭をとるかたわら会計士試験の勉強に励むという、二重生活が始まった。東大で著名な四人の教授から商法の講義を受講できる環境にも恵まれるも、ほとんどは独学で受験勉強を行う。そして2003年、見事合格。『古希の秋会計士補となりにけり』―-は合格した当時、喜びの気持ちを詠んだ氏の句である。当時最年長合格として注目され地方新聞に記事となり、それを読んで受験を決意した40代の人々が大塚氏を訪問した。氏の果敢に挑戦する姿勢は同世代の人々に大きな夢と勇気を与えた。

― 3時間に及ぶインタビューであった。年齢を感じさせない氏の熱い語り口に筆者は圧倒された。氏は貪欲なまでに学ぶことに対して熱心であり、学ぶとは年齢と無関係なものであると感じさせられた。
天は自ら助くる者を助く――氏の座右の銘は、体現した者の言葉として非常に説得力があり、筆者も発奮させられるものであった。疲れを知らずに熱く語る大塚氏の左胸には、努力の勲章とも言うべきJAバッチが、誇りやかに燦然と輝いていた。

(文責:吉岡由佳子)

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