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インタビュー

山田 真哉氏

2006年2月13日

昨年ベストセラーとなった「さおだけ屋はなぜ潰れないのか?」や「女子大生会計士の事件簿」の著者で、公認会計士である山田真哉氏に、準会員会広報委員会はインタビューを実施しました。短い時間でしたが、会計士補のみなさんの展望等を考えるにあたって非常に参考になるお話を聞かせていただきました。以下、掲載しますので、是非御一読下さい。

昨年ベストセラーとなった「さおだけ屋はなぜ潰れないのか?」や「女子大生会計士の事件簿」の著者で、公認会計士である山田真哉氏に、準会員会広報委員会はインタビューを実施しました。短い時間でしたが、会計士補のみなさんの展望等を考えるにあたって非常に参考になるお話を聞かせていただきました。以下、掲載しますので、是非御一読下さい。

(広報委員長 山田勝也)

  1. 監査法人からの独立と独立後の活動について
  2. 独立して気づいたこと
  3. 現在の仕事の内容とLLPについて
  4. これからの公認会計士の業務フィールドについて
  5. 監査法人から独立を考える上での留意点
  6. 物事を分かりやすく伝えるには
  7. これからの山田氏の展望について
  8. 会計士補へのメッセージ

監査法人からの独立と独立後の活動について

山田さんは2004年1月に監査法人を退職され、現在では日本でのLLP適用第一号である「インブルームLLP」のパートナーとして起業家支援や執筆活動等様々な活動をされていますが、監査法人から独立しようとされたきっかけは何だったのでしょうか。
本音を申しますと、マンガの連載を続けるためです。当時、月2回のマンガの連載を行っていたのですが、けっこう忙しく、監査法人の仕事をやりながらだと少しきついなと思っていました。そこで、監査法人に退職の意向を伝えたのですが、その翌日に連載が打ち切りになってしまいました。でも今さら、連載が無くなったので退職を撤回しますということは出来なかったので、そのまま退職しました。
では、監査法人に入った当初から、起業家の支援等のために独立して事業を行うことは考えていなかったのですか。
いいえ、もともと独立志向はあったので、いつかのタイミングでやめようとは思っていましたが、もちろん最初の一年は監査法人の居心地がよければ残ることも考えていました。しかし、自分にとってそうではないことに気づいたので独立しようと考えました。そして、そのきっかけが、先ほど述べた、マンガの連載の話だったということです。

独立して気づいたこと

監査法人を退職し、クライアントとの接し方も変わったと思いますが、独立して初めて気付いたことはありますか。また、監査法人にいては見えなかった事はありましたか。
一番大きな事は、監査で学んだことは中小企業等ではあまり生かせないということです。やはり監査の対象となってくる企業はほとんどが大企業か、もしくは上場をめざしている会社さんとのお付き合いになるのですが、そこで得た知識というのは中小企業であったり、上場を目指さない企業にとってはあまり価値の無い情報です。中小企業等では税務のことであったり、いかに会計を簡略化するか、もしくは会計で出たデータを使って、どうやって事業戦略を組めばいいのかという点が求められています。監査の場合ですと、会社の行った会計処理が正しいかどうかということが主眼ですよね。それが独立してコンサルティングになると、そこからどの部門を切り捨てて、どの部門を盛り上げるか、今後何をしなければならないか、そういった事業戦略にまで関わってくる仕事になったので、頭の使う部分が全然違います。
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現在の仕事の内容とLLPについて

現在の仕事の割合は、執筆と起業家支援と、どのくらいの比率で行っているのですか。
実際にお客さんに会って起業家支援というのは全体の2割ぐらいです。そして、執筆が2割で残りは取材のようなものです。しかし、今年中にはそのようなスタイルを変え、取材等を一切やめようかと考えています。やはり、本業をしっかりしていかないと会計士としての能力に問題が出てくると思いますので。
ホームページを拝見したところ、さまざまな専門家がLLPを構成しているようですが、一つの仕事をする際には全員で協力しあって仕事をされているのですか。
そうですね。ケースによっては6人中6人が参加したり、もしくは6人中2人が参加したり、もしくは1人でしたり、ケースによってそれぞれ人数を変えています。スマップを例にすると、それはスマップが5人でやるときもあれば、中居君と草彅君だけが出る場合もある。そういうイメージと捉えて下さい。

これからの公認会計士の業務フィールドについて

今までの公認会計士であれば、いざ独立するとなれば、会計か税務かという形が多かったと思います。そこで、社会が変わりつつある今の時代において、具体的に社会が会計士に要請するフィールドはどのようなものだとお考えですか。
より専門的なことでしょうね。例えばM&A絡みもそうですし、税務のほうでも、専門化が進んでくるでしょうね。それこそ、移転価格税制だとか、一分野により詳しい人が求められてくると思います。
金融庁も平成30年までに5万人にまで会計士を増やすと公表していますし、これからは監査以外のフィールドも重視されてくると思うのですが、そうなると今後、会計士のフィールドがどのような形で発展していくとお考えですか。
かなり分業化すると思います。建築士の業界においては、最近耐震偽造の問題がありましたけど、構造設計をする建築士もいれば、そのあと図面を描く建築士もいるわけです。すなわち、何サイクルにも分かれているんですよね。1級建築士は25万人ぐらいいるからそのような分業体制にできるのであって、会計士も25万人ぐらいになったら、たぶんそういうふうな構造で分かれてくると思います。例えば、会計の中でも、普通の企業会計、制度会計をやる人もいれば、管理会計だけをやる人もいるでしょう。先ほど述べたように同じ会計の中でもM&Aとか専門的なことだけではなく、会計・監査もそうなるのかも知れません。20年後には連結のみを専門に監査をする会計士も出てくるのかもしれませんね。これほど会計制度が複雑化してきているのですから会計士の業務が分業せざるを得なくなってくるのでしょうね。

監査法人から独立を考える上での留意点は?

いま監査法人にいて将来独立を考えている人は多いと思うのですが、独立するまでの間に何か念頭に置いておいたほうが後々の役に立つということはありますか。
何を強みにして稼ぐかですよね。監査法人を退職して他の会社に勤めるとなるとそれほど頭を悩まさなくて済むかと思うのですが、仮に独立してみたいとなると、どうやってお金を稼ぐかですよね。私の場合は単に、マンガの連載や本の出版でとりあえず食っていけるかなと考えていました。貯金をしておくという手も一つあると思います。
実際に独立される時にはかなり貯金をしておいて、それを元手にしたのですか。
いえ、貯金もある程度はありましたが、基本的には本の出版でこれまでの収入ぐらいはカバーできると見込めていたので、その見込みを元手に独立しました。それが無かったら独立はもう2、3年遅れていたと思います。独立してもすぐ仕事が来るわけではないですからね。
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物事を分かりやすく伝えるには?

著書等を拝見すると、山田さんは物事を分かりやすく伝えることをとても得意とされているように思うのですが、そういった能力はどのようにして培われたのでしょうか。
私は、前職は予備校の講師をしていました。予備校講師は物事をわかりやすく伝えるといった仕事ですから、その時の訓練で、そういった能力を培ったと思います。物事を分かりやすくする能力なんていうのは訓練ですよね。常にそういうことを考えていれば、訓練になります。例え話が出る人、出ない人というのは、常に考えているかどうかだけの差です。お笑いの人は常に何かおもしろいことを言おうとしているから、ああやってテレビの生放送でもバンと言える。それと同じような感じで、常に意識しているかどうかです。たぶん監査人の能力として必要なことも、本当は常に疑ってかかるみたいなことなんでしょうね。ただそれが日常の仕事の忙しさでなかなか出来ないという現実もあるとの事です。
監査の現場で難しい言葉を会社の人に分かってもらう際にも同様の事が言えます。どう伝えればいいかということを常に意識しておくこと。知識がいくら身に付いても、あまりそういうのは生かせないものです。

これからの山田氏の展望について

山田さんはこれからどんなフィールドに出ようとお考えですか。
今年までは主に会社法を扱ってきたのですが、来年は会社を上場させてみたいなとか、そういったことを考えています。これだけ上場が普通になってきた時代なので、今年の末から来年、再来年に掛けては、僕も一回上場とかやってみたいなと思っています。実際やるという話も進んでいます。
それは株式公開に向けた監査でしょうか。
そうではなくて内部の人間として、例えばCFOとして上場をしてみたいなと。何事も経験ですからね。監査側では一回株式公開もやったことがあるんですけど、やっぱり実際、内部の人間の側からもやってみないと分からないですからね。

会計士補へのメッセージ

最後に、現在の会計士補へのメッセージをお願いします。
僕らの世代でも、極めて忙しいと言われていたのですから、監査手続きの数などが圧倒的に増えた今のみなさんはもっと忙しくなっているのだと思います。でも、独立したら自由に何でも出来ると思うので、今は修行だと思ってがんばってください。
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