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資格としての公認会計士ー資格の専門家から見た専門家の資格ー

2018年10月15日

会計士といえば監査という独占業務を与えられる、国家資格のひとつ。では資格という観点から見た公認会計士の立ち位置とは・・・? そんな普段とは違う視点から公認会計士をとらえるため、資格コンサルタントの鈴木秀明さんにお話を伺いました。

日本公認会計士協会準会員会は、私達公認会計士試験論文式試験の合格者を中心とした日本公認会計士協会準会員によって構成されています。その経緯から準会員は資格を取得するために必要な試験、いわゆる資格試験の受験経験を持っていますが、会計士試験以外の資格試験については皆が必ずしも経験しているわけではないと思います。

そこで、今回は資格という観点から公認会計士を捉え直し、また資格という世界についての認識をより深めることを目的として、中小企業診断士・気象予報士をはじめとした約600件の資格・検定の取得経験を持ち、資格関連の著書・メディア出演歴を多数持つ資格コンサルタントの鈴木秀明さんにお話を伺いました。鈴木さんには事前に何点かのテーマをお伝えし、それらについてお話しいただいております。こちらのインタビューを通じて、少しでも皆様の世界が広がれば幸いです。

◆そもそも資格試験とは

この要件が充足されていれば資格試験である、というような明確な定義は法的にもないし、世間一般的な統一ルールがあるわけでもない。同様に「資格」と「検定」の間の線引きも明確なものではない。私が個人的に定義するならば「何らかの技能や能力を、ある権威ある機関に認定してもらう証明のため、何らかの課題によって受験者の実力を測定するための試験」とでもいえようが、一般的には「履歴書に書けるような能力に関する外的な証明」が資格と呼ばれ、資格を取得するための試験が資格試験と呼ばれるようである。
ただ、資格試験や検定試験は元々そういった「お堅い」感じのものが多かったけれど、最近はご当地検定や、漫画・アニメの知識を競う検定のように、もっと気軽に受けられるようなものも増えている。「資格っぽい勲章になるような物の集まり」が世間的な資格のイメージと考えるくらいでちょうどいいのかもしれない。その結果、今の時代において資格試験・検定試験に合格するということは、単純に何かの専門的な仕事ができるという通行手形的な位置付け以上に、「実力の証明書」という意味合いが強まっている。
資格の中でも、国が能力の証明元となる「国家資格」になると、資格を持っていないとできない仕事等があるケースもあることから、資格の中でも特別感はある。ただ、ひとくちに「国家資格」といっても、所管する省庁(公認会計士は金融庁)によって制度体系も取得フローも全然違うことから、一言で語るのはやはり難しい。

◆資格を取るメリット
そもそも資格を取る「メリット」は何なのか、についてあらためて整理してみると、法的な効力の発生、箔付け、学びの効果など、様々なものが存在する。

①法的な効力の発生
業務独占資格(公認会計士など)、必置資格(宅建士など)のように、資格取得者がいることで初めて法的に実施が認められる事業や業務が存在する。これらの仕事に就くにあたって、資格の保持は明確かつ直接的なメリットとなる。

②箔付け
名称独占資格(中小企業診断士など)のように、取得することで初めて名刺に書いたり自称したりできる資格というものがある。これらは保持者の能力が公的機関によって担保されているという、顧客に対するシグナリングの効力を有している。

③コミュニティ効果
公認会計士であれば公認会計士協会といったような、資格取得者のコミュニティに所属できる。性質としては認定者のみの所属するサロンのようなもので、人脈の構築(友達を増やすというようなことも含め)や情報共有の面でのメリットがある。

④実利的・金銭的なメリット
ご当地検定にパスしていると提携施設で利用料の割引が受けられるなど、保持者が何らかの形で金銭的に優遇される場面がある資格・検定もある。

⑤学びの効果
試験勉強を通じて知識が身につき、業務に生かせたり世界の見え方が変わったりするという効果がある。

⑥精神衛生上の効果
資格・検定を持っていることで自信になったり安心できたりと、行動が変わるきっかけとなる。

◆資格試験における公認会計士試験の立ち位置
公認会計士試験と同じ会計系の試験には税理士試験、日商・全経簿記検定はいうまでもなく、ビジネス会計検定、建設業経理検定、IFRS検定、地方公会計検定、農業簿記検定、BATIC(国際会計検定)、コンピュータ会計能力検定等、目的や分野に応じて様々な検定がある。国際化や制度変更に伴って検定の種類も増えてきた。
その中でも公認会計士試験は会計系資格試験の最高峰といってよく、前述のメリットの中でいうと法的な効力・シグナリング等の効果を強く持つ。数多くある資格の中でも、控えめにいって「憧れの資格」。個人的にも可能ならば合格したいものだが、公認会計士試験は時期的に他の難関資格試験と重なることもあって、なかなか受験自体できていないのが残念。

◆会計士試験と相性の良い資格試験
監査実務に最もダイレクトに活きてくるのがExcelスキルに関する資格(MOS、VBAエキスパート)。そのほかにもビジネス心理検定やコミュニケーション検定のような対人スキル系の検定試験が、仕事を円滑に進めるために役立つ。
監査対象の業界のことを勉強する際に資格試験が役に立つことがある。例えば銀行業務検定の勉強を行うことで銀行の実務的な手の内がわかるし、その中でも特に「融資管理」という科目で学べる実践知識は、CFOを目指すなら大いに役立つ内容。不動産業界における宅建士資格、ブライダル業界におけるウエディングプランナー検定など、その業界に入社した人が「入ったら取らされる資格」について勉強してみると、その業界の特色や動向、ビジネスモデル、監査でポイントになる箇所などが資格試験を通じて見えてくる。
業界を問わず公認会計士資格と相性がいい資格は、経営・経済・財務・法務・ITなど企業経営全般にかかわる資格である中小企業診断士。監査法人にいるうちはコンサル業務に携わる機会は多くないかもしれないが、独立後を見据えるのであれば取得しておいて損はない。超難関資格のアクチュアリーなども監査業務プラスアルファを見た場合に付加価値がつく。情報処理系でいうとシステム監査技術者を取得しておくとIT監査の役に立つ。こうした試験は多くが実務スキルや文章力が問われる。難関の資格で能力が求められるものになると意外と論述問題が多く、アウトプットとして文章をまとめる力が必要(社労士などの例外はあるが)。
英語の検定としては英検やTOEICだけでなく、BATICや、貿易実務検定の英語科目、工業英語検定、知的財産翻訳検定など、分野によって色々な選択肢が存在するので、興味があるもの・重点的に学びたいものを選ぶとよいだろう。他に会計士業務と近いものとしてはIPO実務検定等があり、税法の検定なども専門性を高めるために有用と考えられる。

◆資格試験の長所・短所
資格試験を活用した勉強の長所として、テキストがあるため勉強の範囲がわかりやすい、問題を解きながら勉強するため単に専門書を読むだけよりも身につく(本を読むだけの勉強では「わかった気」になりがち。問題を解くことで使える知識が身につく)、勉強のレベル感や目標期日の指針になる、勉強するモチベーションが上がるといったことがある。「知識習得」のみが目的であれば必ずしも資格まで取る必要はないかもしれないが、試験合格という目標設定がやる気を高める点や、ただ勉強するだけでなくて資格として形にできるのは有意義。
逆に短所としては、お金、時間がかかるというものがある。ただ、資格・検定試験は勉強するためのきっかけを与えてくれるサービスのようなものという視点でみると、受験料や勉強に費やす時間は必ずしも対価として高くはない。

◆資格試験の受験者に向けて

学校の勉強は「やらされる勉強」だったかもしれないが、大人になってからの資格試験の勉強は、自分をより高めるための自主的な学び。自分の能力や可能性を広げるきっかけとしてポジティブに考え、色々とチャレンジしてみてほしい。
今は資格を保持しているというだけではダメで、資格を活かすためにどういうビジョンを持って取得するかが問われる時代。しかし、それとは一見矛盾するようではあるが、勉強は「深く取り組んでみて初めてわかること」があるのも事実。勉強が深化することで初めて見えてくる世界があったり、軽い気持ちで初めた学びから想像以上に深い知見が得られたりすることもある。
それゆえ当初から完璧なビジョンを描くことは難しいかもしれないが、勉強を進める過程で随時、「当初の想定と現状とのギャップ」はないかを見つめ直すことも重要。勉強するモチベーションの再確認にもなるし、もし途中で何か違うと思ったら、他のことに切り替えるのもひとつの手だ。
また、今の勉強や仕事に行き詰まりを感じているのなら、様々な分野の検定を通じて、自分がこれまでまったく触れてこなかった世界にあえて触れてみるのもまた楽しい。「必要に迫られての勉強」ではないからこそ気楽に取り組めるし、これまで触れたことのない分野だからこその新しい化学反応も自分の中で生まれるはずだ。
「勉強」というワードにはネガティブなイメージを持っている人も多いかもしれないが、「学び」というポジティブなものとして気軽にとらえてみてほしい。

以上、いかがだったでしょうか。私個人としても取得したい資格の勉強をしていたこともあり、色々と参考になりました。
こちらのインタビューを通じて、皆様の資格というものに対する洞察が少しでも深まれば幸いです。

鈴木秀明(すずき ひであき)

資格・勉強コンサルタント

総合情報サイトAll About「資格」ガイド。東京大学理学部化学科卒。東京大学大学院公共政策学教育部経済政策コース修了。1981年富山県生まれ。気象予報士・中小企業診断士・行政書士・証券アナリストなど600個近くの資格・検定をすべて独学で取得。年間50個以上のペースで資格を取り続けている。資格・学び関連の連載、資格関連の雑誌・書籍の監修、資格試験主催団体へのコンサルティングなど、資格・勉強法の専門家として多方面で活動中。テレビ・ラジオ・雑誌などのメディア出演実績は200件超。著書に『効率よく短期集中で覚えられる 7日間勉強法』(ダイヤモンド社)、『10年後に生き残る最強の勉強術』(クロスメディア・パブリッシング)などがある。

(https://toyokeizai.net/list/author/鈴木_秀明より)

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