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「会計士業界の変化と、これからの会計士に求められるもの」西谷剛史さん 株式会社経営共創基盤(事業再生事業)

登録日: 2010.03.02

講演者略歴介西谷
剛史さん
1999年に大手監査法人に入所、法定監査、財務デューディリジェンス、民事再生法における財産評定業務等に従事。担当業種は化学、輸送用機器、証券業、アパレル、人材派遣業等。2006年8月より2年間、米国ビジネススクールに留学。帰国後の2008年7月に事業再生分野を中心とするコンサルティング会社に入社、以来現職。財務アドバイザリー業務、事業再生に係るコンサルテーション等に従事している。

職業紹介:法人以外の職業に就いている会計士の方々が、どのような仕事をしているか。また会計士としての知識が、どのような形で役に立っているのか。1999年に大手監査法人に入所して約7年間、法定監査、財務デューディリジェンス、民事再生法における財産評定業務等に従事しました。2006年8月より2年間、米国ビジネススクールに留学しまして、帰国後の2008年7月に現在の会社に入社しました。現在は、事業再生に係るコンサルテーション、財務アドバイザリー業務等に従事しています。
現在は財務分野と事業分野を関連させての業務が多く、またプロジェクトごとに異なる様々な業界を担当しなければならないため、監査法人時代に多様な業態を担当した中で身につけた会計士としての知識・経験が役立っていると感じています。

転職の経緯:監査法人を辞め、新たなフィールドに移られた際に、どのようなことをお考えでいらっしゃったのか、また決め手となったことなど。振返ってみると、今までで人生の大きな転機は3度ありました。①監査法人を選んだ時、②留学を決意した時、③現在の会社を選択した時です。

①会計士試験に合格した段階で、監査法人と一般事業会社という選択肢がありました。専門性を身につけられること・多種多様なビジネスに触れられること・色々な場所を見られるのではないかという思いから、監査法人に決めました。

②監査法人に7年間勤務し、このまま監査法人に勤め続けるか、或いは転職するか、海外や国内のMBAに行こうかと迷いました。学校なので、ビジネスの現場と違い守られた場所だということはありますが、ハンディのある環境で自分が何を出来るのか、ハンデキャップマッチを体験したいという想いがありました。異なる環境の中で、どのような刺激を受け、また自分が何を提供できるのか、それを考えるとわくわくしました。勿論、人種国籍を問わず、多様な価値観に触れられるというのも魅力でしたし、英語が上達したい、一度は外国に住んでみたいという考えもありました。同時に、次のキャリアを考える上で、自分に足りないものをたな卸する機会にもなるのではないかと考えました。以上を総合的に考えた結果、海外のMBAに行くという道を選びました。米国のフルタイムMBAに行くということは、2年間学生に戻るというリスクを抱える選択でしたが、結果的にとても良い選択であったと思っています。

③MBAで様々な分野を学ぶ家庭で、財務会計という分野はやはり自分の中の幹になるものという思いを強くしました。一方で、アメリカに住んでいると、日本で思っていたよりもアメリカにおける日本の存在感が小さいことに気づかされます。それを踏まえた上で、今後どういう形かはわからないですが、それを改善していく役割を担えればと考えるようになりました。
MBAの卒業に当たっては、監査法人や事業会社という選択肢もありました。しかし、ビジネススクールで学んだことと、財務会計とを絡めて何か新しいことに挑戦出来るのではないかとの考えや、この段階でもなお、一つのビジネスよりも、色んなビジネスを見たいという思いから、現在の会社を選択しました。

監査法人でできること:(正会員でない)準会員が1年ないし2年は法人にとどまると考えている前提で、転職を見据えて監査法人で何をすべきか。1年ないし2年とのことでしたが、「会計士」の看板をしっかり掲げて生きていくなら、もう少し長く会計士としての業界にいてもよいのではないかとも思います。今すぐに動くと、「他のことを知っている会計士」というのは厳しくて、会計士ではなくなってしまう恐れがあります。自分の強みとしての専門性をしっかり磨いておくことは大事なことだと思います。
監査法人時代に、留学を志す以前にも英語の勉強をしていました。今後を見据えると、英語が使えること自体がアドバンテージになることはないと思いますが、話せなければ明らかなハンディキャップになると思います。世界を見据えた場合、英語が出来ることは当たり前のことで、差別化にはなりません。しかし、日本の経済が縮んでいきつつある中で、自分自身の業務対象が日本しかないというのは、自らの活躍する範囲がそれだけ制約されることを意味するのではないでしょうか。
監査法人時代の先輩からは、「キャリアは逆算」、定年までの年表を書きなさいと教わりました。おそらくそれができれば、キャリアパス構築に注ぐエネルギーは最小になると思います。しかし、私にとっては、これまでもそれを心がけてはきたものの、先々の帰結を予測することは難しく、また目標も動きがちでそこで設計図を描いてもはずれることの方が多いのではないかと感じました。そんな私にとって、父のアドバイスである「面白いと思うことをやれ」という言葉や、MBA時代の教授の「Do what you love」というアドバイスが役立ったように思います。

これからの会計士に求められるもの:会計士が大幅に増加している中、他の会計士と差別化する上で考えなければならないこと、求められる能力等。先日、非常に著名な経営者の方のお話を聞く機会があったがありましたが、その方は「好奇心をどれだけ持ち続けられるかが大事です。ただでさえ激しい経済競争の中で、それが弱いと勝てない。」とおっしゃっていました。私もそのように感じます。これから先、伸ばしていく分野としてはやはり好きなものでないと成長速度は遅くなると思います。やりたい分野を見定めて、しっかりやれば力もついて、自分の個性になるのではないでしょうか。好奇心や関心を持続できないと成長は維持できないし、競争にも勝てないと思います。その分野に関心を持ち続けられることが重要だと思います。
例えば、会計基準やその理論的背景が好きでしたら、そういう分野を監査法人内でしっかり勉強することで、自然と差別化が図れると思います。逆に、計算で何かを学ぼうとしたところで、好きでなければ中々身につかないと思います。少なくとも「他と差別化する」レベルになることは難しいのではないでしょうか。
好きなことを見出すヒントは、日常業務の中にあると思います。私の場合ですと、監査法人での仕事は好きでしたし、優秀な方々と仕事をして、充実した日々を過ごしていました。そうした中で、その「楽しみ」の源泉が監査そのものなのか、その業務の周辺的な要素なのかということを考えてみました。そうすると、手続や開示チェックそれ自体がそれほど楽しいわけではないことに気づきました(勿論、いずれも監査人としては非常に重要な業務です)。また、会計についてあれこれ考え議論するのは好きですが、私よりも会計に関する知識欲や理解力が旺盛な同僚をたくさん見てきました。私自身についていえば、とにかくビジネスの現場を見るのが好きで、工場、店舗、建設現場等々に行くのが大好きでした。そこで働くクライアントの方々のお話を聞き、そこで起きている事象(設備投資、事業所統合等)がどう数値に反映されるのか理解すること、その投資が全社的な観点で、またその会社の属する企業グループ全体で、どのような意図で実行されているのか考えるのが好きだということに気付きました。好きな監査項目も、原価計算、在庫、営業損益から上の勘定で、いずれも「ビジネスが数字にどう落ちていくのか」という認識に繋がるものでした。落とし込んでいくと、ビジネスへの関連度合いがより高い仕事につきたいという結論に達しました。そこからMBAという選択が導かれたように思います。
監査法人を出たがる人も多いと思いますが、法人内で自分にとって「面白い」ことができるのであれば、必ずしも出る必要はないと思います。勿論、それが見つからないのであれば、外に出てみるのもひとつの選択肢だと思います。

転職時に苦労はありましたか周りの人が持つ「会計士ならこういうことが出来る」というイメージとのギャップを感じました。
個人的なイメージとしては、監査は「アウトプットに対する執着の弱い仕事」だと思います。なぜかというと投入したエネルギーが、究極的には監査報告書1枚に集約されるため、投入するエネルギーと成果との連動性が見えづらいところがあります。転職当初は、今持っているものをどういかせばよいのか、或いは自分の伝えたいことがうまく伝えられない等というジレンマもありました。ただ、まじめに取り組むこと、人の助けを最初から期待するのではなく、今できる全力をつくすという姿勢があれば、手を差し伸べくれる人、評価してくれる人は必ずいると思います。
同時に、会計という幹があってはじめて、ビジネススクール等で学んだ他の知識が生きるし、周りの人の評価につながるのとも感じました。

準会員へのメッセージ常に変化する昨今の経済環境下で競争に勝とうとする時、好奇心を持ち続けることが重要なのだとすれば、今後有利な分野だからそのキャリアを選択するというより、自分の好きな分野を勉強し続けることで、自然とキャリアを育てていけるのではないかと思います。
監査法人では、色々な場所に行けますし、色々なことが学べます。自分がしたいことがあれば転職するのもひとつの選択だと思いますが、監査法人でそれが見つかるのであれれば、監査法人に勤め続けるというのももちろん素晴らしい選択肢だと思います。
仕事に対する姿勢について言えば、仕事では手を抜かないようにすることが大切だと思います。厳しいこともあるかもしれないですが、出来るだけ楽しんで欲しいと思います。

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