【活動報告】プロボノセミナー
日本公認会計士協会準会員会東京分会では、7月26日、「プロボノって実際どうなの?~“本業+α”で社会に関わる、公認会計士という生き方~」と題したイベントを開催しました。当日は会員・準会員合わせて約50名が参加し、幅広い世代の参加者が一堂に会し、登壇者の話に熱心に耳を傾けました。
「プロボノ」とは、ラテン語の“Pro Bono Publico”(公共善のために)を語源とし、専門家が知識や経験を社会に還元する活動を指します。NPO法人の会計支援や地域団体への助言など、会計士の専門性を活かした事例は増加していますが、何から始めればよいのかわからない、本業と両立できるか不安、といった声も少なくありません。今回のイベントは、そうした疑問に応える場として開催されました。
ご登壇いただいたのは、プロボノ活動を展開する Accounting for Change の皆様です。池山先生からは、活動の魅力として「誰かの役に立つ満足感」「スキルアップ」「コミュニティ形成」の三点が挙げられました。また、受け入れる側にとっても専門的支援を得られる大きな意義があり、事業推進に役立つ事例が多いことが紹介されました。
辻先生からは、公認会計士試験合格直後からプロボノに関与されており、きっかけは、本業を持ちながら児童養護施設を支援する人の姿に触れ、本業と社会貢献を両立する姿勢に感銘を受けたことだったそうです。活動を通じて知らない世界に触れられることの意義をご教示いただきました。具体例として、在留外国人家庭の子どもが言葉の壁により学校や地域から孤立してしまう状況を挙げ、支援の重要性を言及され、また、プロボノでは活動を自ら選び、成果に対するフィードバックを得られるため、本業にはないやりがいを感じられること、人との出会いや役立つ実感が大きな糧になることも述べられました。
大塚先生からは、上場企業の経理支援や若年層への会計教育といった活動経験が紹介され、プロボノが教育や企業支援など幅広い分野で展開できることが示されました。また、プロボノを本業としたキャリア形成についてもお話しいただきました。
講演後の質疑応答では、活動先の探し方や本業との両立方法といった実務的な質問が寄せられ、登壇者それぞれの経験に基づき率直に答えていただきました。終了後には約30名が参加した懇親会も開かれました。世代や立場を超えた交流を通じて、参加者同士が互いの考えや経験を共有する貴重な場となりました。
今回のイベントを通じ、プロボノは特別なものではなく「本業+α」で誰もが取り組める社会貢献であることが改めて示されました。会計士として培った専門性を活かすことで、社会に新たな価値をもたらすと同時に自身の成長にもつながる。その可能性を参加者が実感した一日となりました。
日本公認会計士協会準会員会では、今後も会員が社会と積極的に関わり、専門性を通じて信頼を築く機会を提供してまいります。今回のイベントが、その第一歩となることを期待しています。