日本公認会計士協会 準会員会

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第12回 株式公開支援業務について

昨今、一連の粉飾事件が相次ぐ中、監査業務について新聞、雑誌等に日々掲載されるようになり、残念な事件が発端ではありますが、会計士の仕事も広く一般に認知されるようになってきたと感じます。
先日、外で昼食をとっていると、「会計士の仕事は単調で簡単そうだな。」と隣の席の人が言っているのを耳にしました。
監査という仕事が単調ではなく一筋縄ではいかないことは皆さんご存知のとおりでしょうが、一般的には会計士が監査業務のみに携わり、数字ばかりを追っているだけのように見られがちのようです。

会計士の仕事には主に監査業務がありますが、その他にもMAS業務、税務、株式公開支援など、多岐に渡っています。
今回は、その中のうち、株式公開支援について体験談を交えてお話ししたいと思います。
株式公開支援とは、その名のとおり企業が株式を公開するための準備を手伝うことを言います。
具体的に、株式公開を始める企業に対してまず最初に提供するサービスは短期調査です。株式を公開するには一定の条件をクリアしていなければならないため、企業の現状が公開できる状態にあるか、会計基準や会社法に反していないか、問題点を洗い出し、解決の方法、さらにはより円滑な経営システムについてアドバイスします。これらの調査報告の中で株式公開のスケジュールについても調整を行い、その後は株式公開支援と監査業務を並行して進めていきます。
公開前の企業は、会計システムを始めとして、内部統制に不備が多いことが大半です。たとえば、私が担当したクライアントの一つには、契約書がなく、さらに相手先がどういう団体かも全くわからないという多額の貸付金を有した企業がありました。また、会社に対する虚偽申請を用いた従業員と会社の不正金銭貸借もありました。
したがって、このような企業の欠陥を洗い出し、解決策を指導していくことが重要なのです。

私は、監査法人に入社してから主にこの株式公開支援に携わってきました。この中で、私は、公開準備を進めている企業が、欠陥を是正し、経済的に成長していく過程を目の当たりにできることが嬉しくて仕方ありません。なぜなら、これから日本経済、さらには世界経済で活躍していく可能性のある企業の成長の前提たる株式公開のお手伝いをし、その後は厳しい監査を行うことで健全な企業を維持させていく、ということが我々の仕事であり、その仕事を通じて我々も企業の成長とともに歩んでいる気がして止まないからです。
今回、未熟ながらも、仕事に対する喜びを共感したいと思い、筆をとった次第です。
皆さんも、株式公開支援の仕事の話がまわってきたら、ぜひ進んで取り組んでみてください。

(文責:橋本 純也 )

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