日本公認会計士協会 準会員会

活動報告(近畿)

3月13日特別講義 報告


大量合格対応特別委員会・準会員会共催特別講義
『企業内会計士の今、そして今後の可能性』

 

 平成22年3月13日に大量合格対応特別委員会と準会員会の共催により特別講義を開催しました。「企業内会計士の今、そして今後の可能性」というテーマで、企業内会計士の方を11名講師としてお迎えし、企業内会計士の現状・公認会計士試験合格者の就職環境・多様なキャリア形成について参加者全員で情報交換を行いました。昨年度合格した準会員の方から、今回の特別講義で講師やアドバイザーを務めていただいた、長年のキャリアを積まれた公認会計士の方まで幅広い方々に参加して頂き、とても有意義な時間となりました。
 今回の特別講義は、2部制で実施しました。Ⅰ部で企業内会計士の方へのインタビュー方式での講演、Ⅱ部では講師等と参加者とのグループディスカッション方式でのフリートークを行いました。

 

Ⅰ部 講演

 

 まず、Ⅰ部で実施された講演ですが、準会員会を代表して荻窪氏から講師3名に質問を行い、お話を伺いました。
 A氏は、大学在学中に2次試験に合格され、大学卒業後、金融機関、監査法人、一般事業会社を経て、現在は経営マネジメントに関わるコンサルティング業務に従事されており、監査法人と企業内会計士の勤務形態の違いについて分かりやすく説明していただきました。
 B氏は、エネルギー関連の企業に入社され、働きながら公認会計士の資格をとられました。現状、IR、有価証券報告書・決算短信等の作成・開示、内部統制などを担当するチームのリーダーをされております。経営企画、予算管理などに携わったご経験から、少し違った視点でのお話をしていただけました。
 また、2次試験合格後税理士事務所での勤務を経て現在コンサルティング会社で勤務されているC氏も、他氏と同様に就職難の時期に試験を受けられており、当時の状況を顧みながら、今の状況についてお話をしていただけました。
 ここでは、今回講演して頂いた3名の講師の方から最後にいただいた参加者へのメッセージを皆さんにご紹介したいと思います。
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○A氏
 「仕事とは、他者に感謝され、付加価値を認められた結果として対価を頂く」ものである点はどこが職場であっても共通である。どうすればより多くの人に感謝されるのか、高い付加価値を認めてもらえるのか、そのために自分は何ができ、何がしたいのかを、自分なりに考え、確立することが何よりも重要である。監査法人か、企業か、という議論はその中の一つの要素に過ぎない。現代のビジネス環境や職場環境の多様化、変化のスピードは加速度的であり、安全で安定的だと信じていることが一瞬のうちにリスクへと変化してしまうのを、私自身日々の活動の中でひしひしと感じている。失敗ややり直しが許されるうちは、公認会計士という資格や職務内容に過度に拘りすぎることなく、まず、ビジネス環境の渦の中に巻き込まれてみて、変化に対応できる柔軟で多様な力(考え方、視点)を養うことのほうが長い目で見た時に重要だと思う。
○B氏
 「合格者が増える」=「合格者の質が落ちる」という因果論がありますが、そもそもこの議論自体に疑問を私は持っている。ビジネス能力を成長させるのは、何と言っても実務経験が大切である。1年でも早く社会に出て、実務キャリアをスタートさせて欲しい。その選択肢の一つとして、企業は悪くない。
○C氏
 実際に業務に従事している方としていない方とでは、1年後の状況が大きく変わっていると思う。そのため、1日でも早く業務に就けるように、監査法人以外の勤務先についても積極的にご検討いただければと思う。
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 ここでは、スペースの関係で講演の内容を詳細に掲載することはできないので、是非今後行う予定の講演に参加して頂き直接話を聞いていただきたいと思います。これから企業内会計士を目指される方も、そうでない方も得るものがきっとあるはずです。

 

講義 

 

Ⅱ部 グループディスカッション

 

 Ⅱ部では、参加者を8,9名の11班に分かれていただき、そこに企業内会計士の方が1名、委員の者が1名担当しグループディスカッションを実施しました。各グループでは、公認会計士が企業に就職することの可能性について議論を交わし、一般企業に勤められる企業内会計士の方の生の声を聞いていただきました。どこのグループでも積極的に議論が熱く交わされ、また、普段あまり接する機会のない企業内会計士の方から自分のキャリアプランを具体化する貴重な情報を聞き出そうとする参加者が多く見受けられました。
 参加者からは、「試験合格自体は一つの武器にすぎず、実務で学ぶことの方が大きい」、「必ずしも今すぐ実務従事にこだわらず、何より就労経験を増やすことこそが重要ではないか」などシビアな議論を交わす一方、様々な経験を積まれている魅力的な企業内会計士の方々に刺激を受け、「キャリア形成に関して、視野が広がった」、「これからのキャリアプランに目からウロコな話が聞けた」など、多数の前向きな感想をいただきました。
 

(記:鈴村・播磨)

 
 

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