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~知ってビックリ環境会計!~ 環境会計の概要とMFCA(マテリアルフローコスト)

開催日: 2014.03.01

~知ってビックリ!環境会計~

環境会計の概要とMFCA(マテリアルフローコストアカウンティング)~

日本公認会計士協会準会員会幹事 小西 隆明

はじめに

 
日本公認会計士協会準会員会近畿分会では平成26年3月1日に近畿会研修室にて「~知ってビックリ!環境会計~環境会計の概要とMFCA(マテリアルフローコストアカウンティング)~」と題した勉強会を開催致しました。

 当勉強会では講師として株式会社環境管理会計研究所代表取締役の梨岡英理子先生(公認会計士・税理士)をお招きしました。梨岡先生は環境会計や環境報告書が日本に導入され研究開発された初期から携わっておられ、日本における環境会計・環境報告書実務と一緒に歩んできた方です。当勉強会では学術的な話のみならず実務経験談についても語って頂きました。

勉強会について

◆環境・CSR情報開示の必要性

 勉強会の冒頭では、企業=経済活動のみでは無くなっている現在の企業環境について説明して頂きました。今や投資家や格付け機関等は財務情報に加え非財務情報も含めて企業価値評価を行っており、企業情報開示の一環としてCSR情報が開示されています。既にSECやEUの規制では年次報告書での社会・環境情報開示が義務化されています。日本では開示義務はありませんが、世界的に今後は統合報告が導入され企業の開示情報=財務情報+非財務情報となる流れが予想されます。日本でも平成24年の環境省の調査では売上高1兆円以上の日本企業の85.2%が環境報告書を作成開示しています。

◆MFCAの背景

 次にMFCAの発展と日本の国家戦略の関係を紹介して頂きました。MFCAの普及した背景には、2006年に発表された政府の「新経済成長戦略」の基本戦略「資源生産性の向上」があります。当時のレアメタル価格高騰を受け、資源に乏しい日本は輸入した資源を無駄なく利用する必要に迫られました。資源生産性の向上に役立つためMFCAは日本企業に普及しています。MFCAは2011年に日本主導のもとISO14051として国際規格化されています。

◆MFCAの目的とメリット

 MFCAは原材料・消耗品・エネルギー等物質としてかたちあるもの全て「マテリアル」に注目した原価管理手法です。製造工程から生まれる良品は「正の製品」、廃棄物は「負の製品」として両製品の原価を同等に計算します。MFCAは廃棄物原価計算とも言え、正の製品と負の製品は原価計算上区別されません。MFCAでは収益を獲得するために費やされる資源「コスト」と収益の獲得と関係なく費やされる資源「ロス」を区別して考えます。収益獲得が目的なのでロスは削減しコストは削減してはなりません。ここが重要なところでコストを削減すると製品品質の低下を招いてしまいます。投入された資源のうちロスになる資源を最小化するのがMFCAの管理目的です。

 MFCAの導入メリットには、廃棄物削減(環境面)や原料コスト削減(財務面)のみならず、物量管理の徹底による棚卸差異・原価差異の減少、ロス削減のための技術革新、MFCA導入過程での作業フロー図作成による作業の標準化・文章化による技術継承等があり、広範な効果が期待できます。

◆MFCA導入モデル事例

 導入モデルの解説ではキヤノンのレンズ工場の事例を紹介して頂きました。ガラスメーカーから納入されたガラスを研磨してレンズを生産しますが、研磨過程で削りカスが廃棄物となります。MFCAで計算するとこの工場では研磨の結果加工前のガラスの32%分(重量ベース)が削りカスになっていたのです。歩留管理の発想ではこのロスは当然のものとして見過ごされてきました。ロスが可視化できたことで対策が考えられ、納入されるガラスの形状を研磨後の形に近づけることで削りカスを80%削減、加えて廃棄物処理コストも削減できました。さらにガラスメーカーでも製品が小型化するため1枚のガラス板から取れるレンズが増え、レンズ工場と納入メーカーのWIN・WINの関係が実現しました。複数企業の交渉が必要な場合、企業間の折衝の仲介もコンサルティングの一環だそうです。

◆SC-MFCAを成功させる

 勉強会の最後には、最も進んだMFCAであるサプライチェーンMFCA(以下SC-MFCA)を解説して頂きました。上記の事例の様に企業にはサプライチェーンが存在します。再生品率の高い環境配慮型製品は環境負荷が低いと思われますが、再生品の使用によって不良品率が上がり反って廃棄物が増加してしまうケースがあり、真の環境配慮型製品のためにはサプライチェーン全体で考えなければいけません。SC-MFCAの事例では普段交流が無い現場技術者間の交流が新商品・新技術誕生に貢献した例や、企業間で在庫量を相互把握することで在庫量の適正化が可能になった例が解説されました。また、SC-MFCA成功のためには第三者(コンサルタント)が間に入ったサプライチェーンのスムーズな一本化が必要となります。この企業間の調整は機密情報やコストデータを扱うため独立した立場で機密情報を扱う公認会計士向きの業務と言えるでしょう。SC-MFCAの課題は、コスト削減のメリットを誰が享受するかという調整が難しいことです。さらに海外企業を含めたグローバルなSC-MFCAが出来ればより効果的なMFCAが可能となりそうです。

最後に

 勉強会の最後には質疑応答を行い、MFCAを導入可能な企業規模についてご質問を頂きました。既存の管理データを利用する簡易型MFCA導入ソフトが存在するため、原価計算システムが無い企業や社員20人程度の企業でもMFCAは導入可能であり、導入のハードルが低く驚きが広がりました。大企業から導入が始まったMFCAですが小規模な企業の方が導入の効果は大きいとのことで、SC-MFCAの普及と合わせMFCAには今後も大きな可能性が有ると感じました。当勉強会のアンケートではご参加頂いた方から高い評価を頂き、満足度の高い勉強会となりました。

 
講師を引き受けて下さった梨岡先生を始め、講演会にご参加頂いた皆様、そして講演会の準備をして頂いた皆様に準会員会一同厚く御礼申し上げます。

 
今後も日本公認会計士協会準会員会近畿分会は様々な勉強会を企画して参りますので、皆様のご参加を心よりお待ちしております。

以上

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