日本公認会計士協会 準会員会

インタビュー
( 会計業界 )

国井 政利氏

  1974年 公認会計士2次試験合格
1974年-1978年 Deloitte Haskins & Sells
1978年-1983年 テキサス・インスツルメンツ

(スーパーバイザー、経理、内部監査、管理会計)
1983年-1994年 The Bank of New York Tokyo Br.
(AVP、経理、Dealing room back office, Fund transfer)
1994年-2004年 AFLAC(副部長、経理や内部監査)
2004年-2005年 リソース・コネクション(コンサルタント)
2005年-2006年 トッキ(株)(内部監査室長)

2006年-2007年 ウィンタートウル生命保険会社
2008年-2009年 アクサフィナンシャル生命保険会社
2009年-現在 アクサ生命保険会社

できないことは、何もない。

-現在の業務内容を教えてください。

 現在はアクサ生命保険会社の業務監査部(2010年9月30日現在)に所属し、SOX評価業務の統括として業務監査部長へレポートしています。具体的にはSOXにおける運用状況の評価を実施しています。

-40年前に、日本の監査法人ではなくDeloitteに就職される方は非常に限られていたと思うのですが、なぜ海外の会社に行かれたのでしょうか。また、その後事業会社に行かれたのはなぜでしょうか。

 監査業務はDeloitteに所属していた4年弱しかしていません。同じ監査法人で勤務していた先輩からの誘いでテキサス・インスツルメンツに行きました。これが転職人生の始まりです。ある日の監査業務を終えた夜、面接を受けたところ、明日から来てほしいと言われました。当時テキサス・インスツルメンツは良い人材がいないか探していたようです。

 当時は永年雇用の時代ですからね、転職するか、1日悩みました。決断したのは、監査法人内にはパートナーやマネージャーがたくさんいて、上にあがるのが厳しいと思ったのと、どこで働いていても、できないことは、何もないと考えたからです。
 ただ、転職後はものすごく大変でした。生産計画、財務計画…当然ですが、監査業務ではやったことのないことばかりですからね。ですが、この時苦労して乗り越えた様々なことが、私を成長させてくれたと思っています。

-試験で得た知識が、監査法人以外で働く際にも生きていますでしょうか。

 生きています。試験で得た会計原則や経営学は現在変更され陳腐化していますが、継続教育等により常にアップデートし、有用な知識として活用できます。会計原則や経営学、また、商法や経済学についても同様ですが、コンセプトを理解して現在の仕事に生かすことが重要であると考えています。

試験に合格することは仕事をスタートする一歩にすぎず、公認会計士を目指す者は一生継続教育等により勉強する覚悟が無ければならないと思います。社会がどう動いているのか、社会で何を必要とされているかを感じながら、自分の持つ知識をどう生かすか、また、どのような新しいチャレンジをするか考えていくのだと思います。

-試験合格者が企業で働くことについてどのようにお考えでしょうか。

 大賛成です。なぜならば、被会計監査会社の人たちが公認会計士と同等の知識を保有していることは監査の効率性に寄与すると思うからです。ただ、現状において、試験合格者が監査法人でなく企業に就職しようとしても企業の採用担当者が躊躇するのではないでしょうか。また、企業内弁護士はよく聞きますが、企業内会計士とはあまり聞かないし、企業における公認会計士に対する認識・測定は簡単ではないと思います。
これは私の考えですが、現在の日本においては、経理であれば公認会計士の知識はあまり利用価値が高くないのではないかと思う一方、外資系企業では、様々な活躍ができるのではないでしょうか。ただし、外資系企業で働くということは、英語をネイティブに近いくらい使える努力が必要です。自分を磨くことが、重要ですね。

-本日は貴重な経験をお聞かせいただき、ありがとうございました。

(文責:三輪 温子)

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