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海外訪問インタビュー

2017年3月23日

ロンドン編(IASB 原寛さん)

【ご経歴】
2001年公認会計士2次試験合格。2002年新日本監査法人に非常勤職員として入社。2005年に大学院修士課程修了後、常勤職員として勤務。会計監査業務に従事した後、IFRSデスクに移動。その後、ASBJに出向し、現在、IASBに再出向中。

ロンドンの中心街に本拠地を置くIASBは、国際会計基準IFRSを作成する団体です。

世界中からの情報が集まるIASBには、様々な国籍の人材が集まっています。

日本を代表してIASBで働かれている原寛さんに、海外で働くことについて伺いました。

 

同じことよりも違うことをしたい

—原さんのこれまでのキャリアについてお聞かせください。

私が会計士試験に合格したのは大学三年生の時でした。翌年から新日本有限責任監査法人(旧:新日本監査法人)に非常勤で入所しました。まだ学生でしたが実務を経験したいと思い、できる限り多く仕事をさせて頂きました。大学院の修士課程まで通っていたので、3年間ほど非常勤として働きました。非常勤時代は、主に石油開発系の会社の会計監査業務に従事し、常勤になってからは当該会社の現場インチャージを務めました。それから、法人内のIFRSデスクに移動し、5年ほどIFRSのテクニカル業務に従事した後、ASBJに出向し、1年半の後、ASBJからIASBに再出向して、今に至っています。

 

—IFRSデスクに移動されたのは何故でしょうか。

常勤になって少しして、家族の都合で高松の妻の実家でしばらく暮らす必要性が生じ、3ヵ月ほど高松事務所で働かせて頂きました。その後、東京事務所に戻ることになったのですが、もとのアサイメントからは既に外れていましたので、何を今後できるのか不安に感じまして(笑)。そのような時に、IFRSデスクが人員拡充のため社内公募をしていたので、新しいことに挑戦したいと思い、手を挙げてIFRSデスクに移らせてもらいました。

 

—IFRSデスクからIASBに出向するまでを詳しく聞かせてもらえませんか。

同法人からASBJに定期的に出向者を出していて、IFRSデスクで5年間ほど働いた時に、出向の打診が私のところに参りました。せっかくなら、今までと違うことがしたいと思い、出向させて頂くことにしました。その後、ASBJで勤務している中、今度はIASBへの出向という機会を得ることができ、不安な気持ちで一杯でしたが、せっかくの機会なので挑戦することにいたしました。同じことよりも違うことがしたいと行動し続けた結果、IASBに出向することになりました。

 

会計基準をつくる仕事

—IASBではどのような仕事をされていますか。

IASBでの私の担当は、IFRS解釈指針委員会と料金規制プロジェクトの2つの業務です。前者の業務として今は年金会計等を担当しています。IASBでは会計の論点ごとにチームが分かれていて、金融商品チーム、保険会計チーム、概念フレームワークチーム及び開示イニシアティブチームなどがあります。IFRS解釈指針委員会チームの業務として、会計基準の適用に関する質問を受領し、当該論点に関して会計基準の修正や解釈指針の公表による明確化が必要と判断された場合には、修正草案を作成し、それを公開してコメントを募集します。コメントレターには草案に対しての賛成意見や反対意見が書かれています。それらの内容を分析し、どのように草案を修正して最終基準又は最終の解釈指針とすべきかをまとめたスタッフ提案をIFRS解釈指針委員会及びIASBに持って行くのが、重要な仕事の一つです。最終基準又は最終の解釈指針の合意が得られたら、実際にそれらのドラフティング作業を行います。

 

—コメントレターの分析は難しそうですね。

コメントレターはさまざまな関係者からから送られてきます。4大会計ファームや主要な基準設定主体からのコメントレターは、特に論点が網羅的に分析されていて、読んでいて新しい発見がたくさんあります。仕事をするときはまずこれらのコメントレターから読むようにしています。というのも、これらのコメントレターから読めば、他のコメントレターの理解が容易になるからです。

 

—IASBにはどんな方が働いていますか。

上席のスタッフは4大会計ファームや基準設定主体で重要な役割を担ってきた方が転職してきていることが多いように思います。若手スタッフは、大学や大学院を卒業してそのままIASBに就職するというパターンもあります。私のように、一部の国の基準設定主体から出向者が来ていますが、全体としてはプロパーのスタッフの方がほとんどです。職員の回転率は比較的速く、IASBからステップアップして、4大会計ファームのテクニカルデスクなどに転職したりしています。日本からは金融庁とASBJから出向者が来ています。

 

日本にいるうちから英語は勉強した方がいい

—仕事をしていて言語の壁は感じますか。

英語には苦労しました。といいますか、今でも日々英語に苦労しています。ロンドンに来るまでに通信教育や英会話学校を利用しましたが、実際に英語は日々の業務・生活で使わないと十分に伸びないと感じます。若い人に注意してもらいたいのは、スピーキングとリスニングは特に習得に時間がかかります。英語学習の一番の秘訣は、海外で暮らす・仕事することだと思います。それによって、いかに英語ができないかが良くわかり、悔しい思いをすることで、その後の英語学習のインセンティブになると思います。

 

—海外で働くにあたって、日本にいる間に準備した方がいいことは何でしょうか。

私自身十分でなかったですが、可能であれば、日本にいながらも、英語を嫌でも使わないといけない環境に身をおくことができれば、一番良いと思います。他のIASBへの出向者の勉強法を紹介すると、ディクテーションとシャドーイングを集中的にやったり、字幕付きで海外ドラマを見たりしていたそうです。

 

海外に来て、キャリアの可能性広がる

—最後に海外駐在のメリットとデメリットを教えてください。

デメリットから言うと、(本物の)日本食が手ごろな値段では食べられないことです(笑)。メリットは、異なる環境や価値観に触れることで、今まで気がつかなかったことに気がつけることです。イギリスに来てグローバルな経験をして、自分の可能性が広がったと強く感じます。

 

今回のインタビューでは、海外で働くチャンスをつかむところから、海外で働くメリットまで、貴重なお話を伺えました。原さん、ご協力ありがとうございました。(野村航洋)

 

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